
IT機器やシステムの保守には、「メーカー保守」と「第三者保守」という2つの選択肢があります。どちらを選ぶかによって、コストや対応範囲、サポート体制に大きな違いが生まれるため、選定には慎重な判断が求められるのです。本記事では、メーカー保守と第三者保守の基本的な違いをわかりやすく解説します。
保守の基本をおさらい!押さえておきたい基礎知識
「保守」とは、具体的にどのような業務を指すのか、きちんと理解している方は意外と少ないかもしれません。そこで、今回は保守の基本的な役割や種類について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
IT保守とはどんなもの?
IT保守とは、コンピュータやサーバなどのハードウェア機器が故障した際に、修理や部品交換を行って正常な状態に戻す業務を指します。また、アプリケーションなどのソフトウェアに不具合が発生した場合、更新や修復対応が行われます。とくに企業においては、ITシステムが停止することで業務全体に大きな影響を与えるため、保守は緊急時のトラブル対応において重要な役割を果たします。安定したシステム運用を維持するためにも、保守の重要性は言うまでもありません。
メーカーによるサポート体制
メーカー保守とは、製品を製造・販売しているメーカー自身が提供する保守サービスです。契約期間中、機器に不具合や障害が発生した場合、メーカーの技術スタッフによる修理や部品交換、ソフトウェアのアップデートなどのサポートを受けることができます。
第三者による柔軟な保守サービス
第三者保守とは、メーカー以外の専門保守サービス会社が提供する保守サービスのことです。メーカーの保守終了(EOSL)後も対応可能なことが多く、コストを抑えながら長期的な運用を続けたい企業にとっては有効な選択肢です。
メーカー保守と第三者保守の違いとは?
IT機器の安定運用に欠かせない保守サービスには、「メーカー保守」と「第三者保守」の2つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、どちらを選ぶべきか迷っている方のために、その違いとメリットをわかりやすく解説します。
メーカー保守の特徴とメリット
メーカー保守は、その名の通り製品を製造・販売しているメーカーが提供する保守サービスです。サポート対象はメーカー製の機器に限られますが、製造元ならではの技術力と豊富な知識を活かし、障害調査や解析、ソフトウェアの更新などの手厚い対応を受けることができます。とくに日本では、品質重視の傾向が強く、メーカーによる高水準のサービスが求められるため、満足度の高い保守サービスが期待できます。ただし、サポート内容が充実している分、保守費用が高額になる傾向があり、重要な基幹システムや最新機器には適した選択肢と言えるでしょう。
第三者保守が選ばれる理由
第三者保守は、メーカー以外の外部業者が提供する保守サービスです。メーカー保守に比べてコストを抑えやすく、複数の業者から価格、対応スピード、技術力などを比較して選ぶことができる点が大きな魅力です。基本的にはハードウェアの故障対応が中心ですが、ナレッジや実績を活かして技術支援を強化している業者も増えています。また、メーカーの保守終了(EOSL)後でも対応可能なことが多く、長期間にわたる機器の活用を検討している企業には非常に有効な選択肢です。最近では第三者保守の信頼性も向上し、多くの企業で採用が進んでいます。
失敗しない第三者保守サービスの選び方
第三者保守サービスを導入する際、どの業者を選ぶかによって、保守の質や対応力が大きく変わります。コストだけで判断するのではなく、ノウハウや対応スピード、部品の調達力、実績など、さまざまな視点から評価することが重要です。ここでは、信頼できる第三者保守業者を選ぶために押さえておきたい4つのポイントを解説します。
技術力と知識の深さを見極めよう
第三者保守を提供する業者の中には、さまざまなメーカーやモデルに対応してきた豊富な実績をもつ企業もあります。こうした業者は、機器ごとの構造や故障傾向をよく理解しており、的確な修理や障害対応が可能です。選定時には、保守対象機器の種類や型番への対応経験があるかどうかを確認するとともに、技術教育やスキル保持体制についてもチェックしましょう。
迅速な対応体制が整っているか
IT機器に障害が発生した際、対応のスピードは事業継続に大きな影響を与えます。そのため、第三者保守業者を選ぶ際は、問い合わせから現地対応までの時間、サポート時間帯、緊急対応の有無などを事前に確認することが重要です。また、全国対応可能な体制が整っているか、近隣にサービス拠点があるかも確認するポイントです。迅速な対応は信頼性に直結する大きな要素です。
部品供給力は安定しているか
保守サービスにおいて、必要な部品を迅速に調達できるかどうかは、対応スピードや修復完了までの時間に大きく影響します。第三者保守業者の中には、自社倉庫を保有したり、国内外の調達ネットワークを活用して部品を安定的に供給できる体制を整えているところもあります。また、保守対象となる機器の部品が製造終了している場合でも、互換品や代替部品で対応できるかどうかも確認しておきましょう。
導入実績と信頼性をチェック
業者を選ぶ際には、過去の実績や対応件数も重要な判断基準です。多くの企業に採用されている保守業者は、それだけ信頼される対応力と経験をもっている証拠です。具体的にどの業種や規模の企業と取引があるのか、どんな機器の保守を行っているのかを確認することで、自社との相性を判断しやすくなります。また、第三者評価や導入事例などが公開されている場合は、それらを参考にして選定するのも有効です。
まとめ
IT機器の安定運用に欠かせない「保守」は、企業にとって重要なインフラの一部です。メーカー保守と第三者保守にはそれぞれ異なる特徴とメリットがあり、目的やコスト、運用方針に応じて適切な選択をすることが求められます。とくに、第三者保守を導入する際には、技術力や対応スピード、部品供給力、実績などの観点から信頼できる業者を選ぶことが、長期的に安心して運用を行うために不可欠です。