業務で使用するIT機器やシステム、各種設備は、トラブルが発生すると業務停止や大きな損失につながる可能性があります。こうしたリスクを抑える手段として、多くの企業が導入しているのが「保守契約」です。
保守契約は、機器やシステムの安定運用に欠かせない重要な役割を果たしますが、注意点も存在します。本記事では、保守契約の基本的な仕組みから対象となる機器の例、メリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。
保守契約とは?
保守契約とは、製品やシステムに不具合や障害が生じた際、あらかじめ定めた条件に基づいて修理や点検、技術サポートなどを受けられる契約のことです。メーカーや保守専門業者と契約を結ぶことで、トラブル時に迅速な対応が受けられます。
保守契約には、オンサイト保守やセンドバック保守など複数の形態があり、対応方法や復旧スピード、費用が異なります。契約内容によっては、定期点検や予防保守、ソフトウェアのアップデートが含まれる場合もあり、単なる修理対応にとどまらない点が特長です。
突発的な故障への備えだけでなく、日常的な安定運用を支える仕組みとして、保守契約は多くの業界で活用されています。
保守契約対象の代表例
どんなものでも保守契約の対象となり得ますが、以下のような製品・システムに付随するのが一般的です。
情報技術(IT)製品やシステム
保守契約の代表例として挙げられるのが、サーバーやネットワーク機器、業務システムなどのIT関連製品です。これらは企業活動の中核を担う存在であり、障害が発生すると業務全体に影響を及ぼします。
保守契約を結んでおくことで、トラブル発生時の迅速な復旧や、専門技術者によるサポートを受けられます。
エレクトロニクス製品
製造業やオフィスで使用されるエレクトロニクス製品も、保守契約の対象となることが多い分野です。具体的には、コピー機やプリンター、監視カメラといった電子機器や家電製品、産業用機器などが対象となります。
医療機器
医療機器は、人命に関わる重要な設備であるため、特に高い安全性と信頼性が求められます。主に、MRIスキャナーや超音波検査装置、血圧計などの医療機器が保守契約の対象とされます。
保守契約内容には、法令に基づいた点検や校正、緊急時の対応などが含まれることが一般的です。万が一のトラブルに備え、安定した稼働を維持するために、医療分野では保守契約が不可欠といえます。
産業設備など
工場やプラントで使用される産業設備も保守契約の対象です。具体的には、ロボットやコンベアベルト、発電機、工場や製造業で使用される産業設備・機械のほか、エネルギー管理システムも挙げられます。
設備の停止は生産ライン全体に影響を与えるため、予防保守や定期点検を含む契約が重要です。安定稼働を維持することで、生産性の向上や事故リスクの低減につながります。
保守契約を締結するメリット
保守契約を結ぶことで、万が一のトラブル時にスムーズにサポートが受けられたり、安定的な運用を実現したりとさまざまなメリットが受けられます。ここでは、一般的なメリットを4つ紹介します。
優先的なサポートが受けられる
製品やシステムは、時間の経過とともに故障しやすくなったり、セキュリティ上の問題が発覚したりすることがあります。保守契約を締結していれば、障害発生時に専門技術者による優先的なサポートが受けられます。
保守契約を結んでいないユーザーと比べて、スムーズな対応が受けられるため、復旧までの時間を短縮できます。業務停止の影響を最小限に抑えたい企業にとって、大きなメリットです。
専門知識・技術的なアドバイスがもらえる
専門知識を持つ技術者からアドバイスが受けられる点も魅力のひとつです。トラブル対応だけでなく、運用改善や設定の見直しなど、技術的な相談ができるため、製品のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
社内に高度な技術者がいない場合でも、安心してシステムを運用できます。
定期的なメンテナンスとアップデート
企業で導入している製品・サービスは、定期的な点検やソフトウェアのアップデートが欠かせません。保守契約の内容には、このようなメンテナンスが含まれていることが一般的です。
問題が顕在化する前に対処できるため、突発的な故障を防ぎやすくなります。安定稼働を重視する企業にとって、予防的な保守は大きな価値があります。
コスト効率が向上する
保守契約を締結することで、製品やサービスのライフサイクル全体のコストを管理しやすくなります。一見すると保守契約にはコストがかかるように感じられますが、突発的な修理費用や業務停止による損失を考慮すると、結果としてコスト効率が向上するケースも少なくありません。
上記のようなメリットを踏まえると、保守契約は企業にとって重要な投資であるといえるでしょう。
保守契約を締結するデメリット
保守契約は事業の安定運用に欠かせない重要な役割を果たしますが、もちろんデメリットも存在します。ここでは、一般的なデメリットを解説します。
定期的な費用・追加費用がかかる
保守契約を締結している間は、毎月または毎年の契約費用が発生します。何かトラブルが起こっていない場合でも、保守業務の対価を支払わなければなりません。
また、契約内容にもよりますが、サービス範囲外の修理が発生した場合には、追加費用がかかる可能性もあります。このようなコスト負担は、保守契約のデメリットといえるでしょう。利用頻度が少ない場合は、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
ただし、製品やサービスを良好な状態に保つためには、一定の費用負担は避けられません。大きなトラブルが発生すると、業務停止による多額の損害が発生することも考えられるため、必要経費であると割り切ることも大切です。
特定の取引先への依存度が高まる
保守契約を結ぶことで、特定のメーカーや業者への依存度が高まる点もデメリットです。対象となる製品・システムに関するノウハウが社内で蓄積されず、突発的なトラブルに対応できなくなる可能性があります。
また、契約内容によっては、他社への切り替えが難しくなる場合があります。将来的な運用変更も見据えた判断が重要です。
一定の条件や制約が含まれる
保守契約には、一定の条件や制約が含まれるケースが少なくありません。たとえば、保守対象となる製品を自社で修理・カスタマイズなどを行った場合、サポートが受けられなくなる場合があります。
また、対応可能であっても、別途費用がかかることもあります。契約条件を十分に理解したうえで締結することが求められます。
契約内容の柔軟な変更や解除が難しい
保守契約は中長期契約となることが多く、途中解約や内容変更に制約がある場合があります。契約期間中に事業環境やニーズが変化したとしても、柔軟な変更や解除が難しいケースもあります。
これらのデメリットは、状況や個別の契約内容によって異なります。保守契約の締結前には、あらかじめサービス内容や範囲をしっかりと確認し、慎重に検討するようにしましょう。メリット・デメリットを理解したうえで、自社のニーズとコストのバランスをとることが重要です。
まとめ
保守契約は、IT機器やシステム、各種設備を安定して運用するために欠かせない仕組みです。契約を結ぶことで、トラブル発生時に優先的な対応や専門的なサポートが受けられます。
また、契約内容によっては突発的な故障への備えだけでなく、定期的なメンテナンスやソフトウェアのアップデートといった予防的な保守も受けられます。十業の安定運用を支える仕組みとして、多くの企業が導入しています。
一方で、定期的な費用が発生することや契約条件による制約がある点には注意が必要です。自社の業務内容やシステムの重要度、費用対効果を整理したうえで、慎重に検討しましょう。
本記事が参考になれば幸いです。