一定期間IT機器を使用していると、必ず起こるのがメーカーの保守切れです。IT機器の保守が切れてしまうとどのようなリスクが想定されるのでしょうか。今回はメーカー保守切れによってもたらされるリスクと、保守切れの際の対処法、延命保守を利用する流れについて解説します。ぜひ、参考にしてください。
メーカー保守切れで起こるリスク
メーカの保守切れで想定されるリスクは4つあります。
1つ目のリスクは老朽化でIT機器の不具合や故障が発生することです。IT機器も消耗品の一つであるため、長年使用していると経年劣化してきます。すると、偶発的な故障の発生確率が上昇し、最終的には立ち上がらないなどの深刻な故障を引き起こします。具体的にはハードディスクやファン、電源、メインボードなどで故障が発生しやすくなります。
2つ目のリスクはデータが消失するリスクです。サーバが正常に機能しない場合、データへのアクセスが不能になるケースや会社の機密情報、顧客情報などが消失するケースが発生します。そうなると、企業は社会的に信用を失う可能性があります。
3つ目のリスクは、業者から保守を断られて自力でメンテナンスしなければならないことです。メーカーは保守切れした機器まで保守をし続ける義務はないため、状況次第ではスポット修理をしてくれない可能性があります。
4つ目のリスクは、修理するための部品を自力で調達しなければならないことです。メーカーは保証期間内であれば修理するための部品を生産・確保していますが、保証機関が終了した機器については部品生産を停止している可能性があります。
その場合、代わりになる部品を自力で調達しなければなりません。専門知識を有していない企業がIT機器の部品を調達するのはかなり困難で、調達できたとしても大きなコストを支払う可能性があります。
メーカー保守切れの対処法
メーカーの保守切れにどのように対処すればよいのでしょうか。主な方法はシステムリプレイスと延命保守(延長保守)です。システムリプレイスとは、現在使っているシステムを新しいものに取り換えることです。
しかし、システムリプレイスは費用面の問題と互換性の問題があるので簡単に行ってよいものではありません。おすすめなのはもう一つの延命保守です。延命保守とは、IT機器の保守期間が終了した後も修理対応や不具合の対処などのサポートを受けられる仕組みのことです。
延命保守を利用するメリットは複数あります。最初に取り上げるのは、メーカー保守終了後もIT機器に精通した業者が保守を行ってくれるため、会社のリソースをシステム維持に割かなくてもよいことです。
自社で専門の担当者を育成したり雇用したりすることもできますが、コストや時間がかなりかかります。その点、延命保守を利用すると従来通り、IT機器のメンテナンスを専門業者に委託できます。
部品調達という面でも、延命保守はメリットが大きい仕組みです。先述したとおり、保守が終了したIT機器の部品調達を自社で行おうとすれば、かなりの手間がかかるかもしれません。延命保守を利用していれば、部品の調達も延命保守を行う業者に依頼し、修理もしてもらえます。
コスト面でも延命保守はメリットがある仕組みです。システムリプレイスを行うと延命保守よりも大きな費用が掛かる可能性があります。機器に全く異常がなくても、保守切れだけが理由で使用できなくなるというのは非常にもったいない話です。
延命保守を利用し第三者サポート等を得られるなら、機器の運用コストを最小限に抑えることも可能です。
延命保守を利用する流れ
延命保守を利用するにはどのようにすればよいのでしょうか。最初に行うべきことは延命保守を行っている業者への問い合わせです。メーカー保守の期限が来てから依頼すると、保守切れから延命保守の開始までの空白の期間が生まれてしまうため、保守狩猟期限よりも前に問い合わせをした方がよいでしょう。
問い合わせの際は対象機器の名前やシリアル番号、設置台数、場所、システム構成などを知らせておくと対応がスムーズになります。問い合わせを受けた業者は、伝えた情報にもとづいて見積もりを産出します。延命保守の条件は、年間契約であることや開始前にシステムが正常に稼働していることです。
不具合が発生している場合は、不具合解消後に改めて年間契約を結ぶことになります。見積もりに納得ができれば次のステップである保守部材の調達や機器登録票の提出に移行します。
その後、正式に保守契約が交わされて保守がスタートします。部材の調達状況などにもよりますが、問い合わせから契約開始まで一定の期間が必要であるため、なるべく早く問い合わせをした方がよいでしょう。
まとめ
今回はIT機器のメーカー保守切れのリスクや保守切れへの対応策としての延命保守について解説しました。システムを丸ごと入れ替えるシステムリプレイスに比べるとリスクが小さく、コスト面でも負担が小さいため積極的に活用したいところです。メーカー保守切れが迫っているIT機器を使用している企業は、できるだけ早く延命保守などの対応策を実行するため、延命保守を行っている業者に問い合わせなどをした方がよいでしょう。