第三者保守は、メーカーのサポートが終了したEOSL機器を継続して使用できるようサポートするサービスです。EOSL機器を継続して運用したいケースには重宝するサービスである一方、第三者保守サービスを導入することにはいくつかのリスクがともないます。今回は第三者保守導入することで発生し得るデメリットを解説しましょう。
第三者保守導入のデメリット
企業や組織が情報技術や設備の保守を行う際に、自社内ではなく第三者業者に保守を委託することは一般的な選択肢のひとつです。しかし、第三者保守を導入することにはいくつかのデメリットが存在します。こちらでは、その主なデメリットについて解説しましょう。
技術や知識の差異
第一のデメリットは、第三者保守業者とメーカーのサポートスタッフとの間に生じる技術や知識の差異です。自社製品を扱うメーカーのサポートスタッフは、製品に関する深い知識や専門技術を有しています。
しかし、第三者保守の技術者は、製品知識や専門技術が不充分な場合があるのです。さらに、第三者保守サービス業者ごとに得意とする機器の分野が異なるため、サポートの品質にばらつきが生じることもあります。その結果、緊急時に適切なサポートを受けることが難しくなる可能性があるのです。
法的および契約上のリスク
第二のデメリットは、法的および契約上のリスクです。メーカー保証サービス有効期間内に第三者保守サービスに切り替える場合、法的な問題や契約違反が生じる可能性があります。
とくに、知的財産権の侵害やライセンス契約の違反が問題になる場合があるのです。裁判例には、第三者保守サービス業者が知的財産権侵害で訴えられ、多額の支払いを命じられたケースも存在します。これらのリスクは、慎重な検討が必要です。
コスト
第三のデメリットは、コスト面の問題です。EOSL保守サービスなどは、保守期間が長期化するほど、新しい機器を購入する場合に比べてコストが高くつく場合があります。したがって、第三者保守を導入する際には、コスト面での検討が欠かせません。
第三者保守はなぜ必要？
現代のビジネス環境では、情報技術や設備の保守が重要な課題となっています。なぜ第三者保守が必要なのか、こちらで解説しましょう。
機器の寿命延長
第一に、第三者保守は機器の寿命を延ばすために不可欠です。EOSLを迎えた機器を使い続けるためには、専門的な保守が必要になります。第三者保守業者は、機器のメンテナンスや修理を行い、その寿命を最大限に延ばすことができるのです。
システムの安定性の維持
第二に、第三者保守はシステムの安定性を維持する上で重要です。既存のシステムとプロセスを維持しながら、機器の保守を行うことで、企業は大規模なシステム変更やアップグレードにともなうリスクとコストを回避できます。これにより、ビジネスの中断やシステムの不安定性による損失を最小限に抑えられるのです。
専門的な技術サポート
第三に、第三者保守業者は専門的な技術サポートを提供しているのです。突発的なトラブルや問題が発生した際には、迅速かつ適切な対応を受けることができます。これにより、システムの稼働時間を最大限に保ち、生産性を維持することが可能です。
計画的なアップグレードや移行の時間確保
第三者保守を利用することで、企業は計画的なアップグレードや移行に向けて時間を確保できます。急な機器の故障やトラブルに追われることなく、新しいシステムの導入やアップグレードを慎重に計画できるのです。
第三者保守とサーバーリプレースどっちがおすすめ？
情報技術の進化が急速に進む現代において、企業が古くなったサーバーに対処する際には、第三者保守とサーバーリプレースのどちらが最適かを検討する必要があります。両者にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、企業のニーズやビジネス戦略に応じて最適な選択を行うことが重要です。
第三者保守のメリット
第三者保守は、サーバーリプレースに比べて初期投資が低い場合があります。とくに、既存のシステムに特化したアプリケーションがあり、それらを維持したい場合は、費用対効果が高い選択肢です。
また、既存のシステムやデータを継続して利用できるため、シームレスな移行ができます。とくに、特定の業務やプロセスに依存している場合は、この点が重要です。
さらに、第三者保守業者は専門的な技術サポートを提供し、トラブルが発生した際の対応が迅速である場合があります。緊急時に迅速な対応が求められる場合には、このメリットが大きな魅力です。
サーバーリプレースのメリット
サーバーリプレースにより、最新の技術に基づいた効率的かつ高性能なシステムを導入できます。これにより、作業効率が向上し、生産性が向上するのです。
また、新しいサーバーはエネルギー効率が高く、メンテナンスの必要性が低減されるため、全体的な運用コストを削減できる傾向があります。さらに、新しいサーバーには最新のセキュリティ機能が備わっており、データ保護が強化され、コンプライアンス要件を満たしやすくなるのです。
どちらを選択すべきか？
企業が第三者保守サービスを選択するか、サーバーリプレースを選択するかは、その企業の具体的なニーズやビジネス戦略によって異なります。
特定のアプリケーションに依存しており、長期的な投資を避けたい場合は、第三者保守サービスが適しているかもしれません。一方で、技術の進化に対応し、運用コストを削減し、セキュリティを強化したい場合は、サーバーリプレースが推奨されます。
まとめ
ここまで、第三者保守のリスクについて解説しました。第三者保守の導入はEOSL機器の維持のためには有効ですが、業者の得意分野や技術力、サポート体制、サービスにかかる費用など自社ケースに適しているか事前に調査検討することが大切です。また、第三者保守の方法がメーカーライセンスに反する場合、法的な訴訟に発展するリスクがあることも留意が必要です。サーバーリプレースも視野に入れ、企業の具体的な需要と予算やマンパワーなどのリソースに基づいて慎重に検討しましょう。
